2012年10月30日火曜日

いのちの色鉛筆



先日、妹背牛にて朗読劇「いのちのいろえんぴつ」を上演させていただきました。
(動画は札幌教育文化会館で上演した時のもの)

この朗読劇は、今年6月25日に別海くるみ幼稚園と別海中央中学校にて上演した
朗読劇と同じ演目です。


現代は「いのち」について考える機会があまりにも少ないですね。

もし日頃より仏教の教えに親しんでいるならば、その機会も少なからず
持つ事ができますが、そもそも現代は、仏教の教え自体が伝わりにくくなっています。


そのような課題に、朗読劇というかたちで「いのち」について考える機会を
提供できればという想いで、6年ほど前に道内の有志で朗読劇グループを
結成いたしました。



活動をはじめた頃には、「朗読劇とはなんですか?」と反応も薄かったのですが、
公演を重ねるうちに依頼が多数舞い込むようになり、京都、東京などの道外に呼ばれる
ようにもなりました。

活動はあくまで「布教」ではなく、一般の人とともに「いのちについて考えたい」
というスタンスが、学校や人権講習などの直接宗教とは関係が無いと思われる場面に
呼ばれる事につながっているのでしょうか。

いま「いのち」について考える機会を、多くの人がが欲していると感じられます。



くるみ幼稚園は仏教教育を理念として掲げる幼稚園です。
しかし、目的は「布教活動」ではなく、仏教の価値観を基盤として
「人間形成に資する」事。


園児たちに「いのち」について、いかに伝えるかは永遠の研究課題ですが、
朗読劇の活動経験なども活かしながら、より良い幼児教育を目指したいと思います。




P.S. 活動に興味がある方は、お問い合わせ下さい。
  (活動はボランティアですので、交通費相当以外の謝礼は必要ありません)









2012年10月24日水曜日

和顔施 笑顔の贈り物



♩ハッピバースデー トゥーユー ♪

今日は誕生会です。

園児達の楽しい笑顔がはじけます。


誇らしそうな笑顔

照れくさそうな笑顔

おめでとうの笑顔

笑顔を見て思わず出る笑顔


笑顔はいろんな人に伝染します。


笑顔の事を仏教では「和顔施」と呼び、施しのひとつととらえます。(無財の七施)


東日本大震災が起きて間もない3月25日、福島県南相馬市の体育館に
炊き出しに訪れた事をきっかけに、何度か南相馬市を訪問しました。
当時は過酷な避難所生活下でしたが、車に積んであったスケッチブックとクレヨンを
女の子(ななちゃん)に差し出すと、ななちゃんの暗かった表情がぱっと
明るくなりました。

するとその笑顔は瞬く間に伝染し、重く沈んだ避難所の空気も明るくなりました。
一人の笑顔は、周りの人を幸せにする。 

まさに「和顔施」の持つ力の大きさを体感した瞬間でした。




つらいこともあるけれど、笑顔いっぱいで成長してほしい。


これは、くるみ幼稚園の保育者全員の願いでもあり、
子ども達の笑顔に触れる事が、先生たちの生き甲斐でも・・

私たちは日々、子ども達の施し(和顔施)を頂いているのですね。



お誕生会 園長先生のお祝いの挨拶で
「和顔施」〜笑顔の贈り物〜の話をさせていただきました。



子ども達へ
「お誕生おめでとう。いつも笑顔の送り物をありがとう。」






2012年10月23日火曜日

音楽 挑戦 失敗・・・



♪きたかぜ〜 チャッチャッチャァ〜♫

♩どーんどーん♫タンタンタン♩シャーン


「今日はにぎやかだなぁ」と覗いてみると
歌に合わせて、打楽器遊びをしています。

「次の小太鼓やるひとは〜?」
「はーい!」

子ども達は打楽器が大好きです。
でも、「前に出てやるのはちょっと恥ずかしいなぁ」

しかし、勇気を出して「はーい!」

積極的に手を挙げられる子もいれば、もじもじしてしまう子も・・・


〇〇ちゃんは、いま心の中で葛藤しているのかな・・・
前に出ようか、このまま見ていようかと・・・


そこで、クラスの担任は声をかけます。
「〇〇ちゃん、やってみる?」

強制しないように・・葛藤を乗り越える為に背中を押してあげる。
そんなニュアンスでしょうか。



もちろん声をかけたからといって、すぐに前に出られる訳ではありません。
積極的に手を挙げて打楽器を演奏しているお友達を見て
「やろうかな〜  はずかしいな〜」
「できるかな〜 失敗したらどうしよう〜」
を心の中で繰り返しているのです。



これは子ども達にとって大切な時間。
大人が答えを出す事で育ってきた乳幼児期とは違い、
今は自分で答えを決める練習をしているのです。

「まだやらない?」
「じゃぁ もう一回見てみようか。次ならできるかな♪」

積極的に打楽器を演奏する子ども達の、楽しそうな笑顔の力を借りながら、
ルールを守る事と、失敗をとがめない事を保証しながら、
(ルールを破ったから叱る事と、 失敗をとがめない事を明確にしないと
 子ども達が混乱・萎縮し、挑戦をためらってしまいます)
子ども達が自ら挑戦できる環境を整える事が、我々のお仕事。


でも、演奏に挑戦している園児達もたいしたものですが、
静かにいすに座って、順番を待っている園児達にも成長を感じます。


さて音楽の話
幼稚園では歌をたくさん歌い、ピアノに合わせてリズム遊び。
幼年消防クラブ鼓笛隊や、歌に乗って手遊び 指遊び・・・

音楽にふれる機会が豊富です。



哲学者プラトンは著書『国家』のなかで
音楽教育と体育教育を人間教育の根幹として重要視しました。
(『国家』は国家論というよりは、正義とは何かについて書いたものと言われている)

人格形成・成長の過程で、音楽教育の重要性はプラトンのみならず、
多くの人が指摘するところですが、残念ながら幼稚園を卒園してしまうと
音楽教育の機会割合は、だんだん減っていってしまいます。


貴重な幼稚園児という時間。
音楽教育を大切に・・・・・


といいながら、園児達の歌にこちらが感動をもらってりしています。







2012年10月22日月曜日

聞き合い 聴き合い

みんなで「話し合いをしましょう。」 って・・・


でも、「話し合い」って、うまくいくときばかりではありませんね。
大人の世界でもなかなか・・・・


くるみ幼稚園のクラスでも、例えば運動会前の作戦会議だったり、
ドッヂボール大会での作戦会議だったり、
子どもたちを交えた、いわゆる「話し合い」と言われるような場面が
年長クラスなどではたくさんあります。

当然、
うまくいく「話し合い」もあれば、
うまくいかない「話し合い」もあります。

「あーしたほうがいい!」
「こうしたほうがいい!!」
「それより、こっちの方法がいい!!!」

だんだん皆の声も大きくなり、
「あーっ、まとまらないーっ。」
と、担任の先生の叫び声が聞こえてきそうです。




自己主張ばかりでは、話がまとまらないのは当然ですが、
自己主張は、幼児期の発達段階に置いて重要な意味があります。

以下に研究論文の一部を引用してみましょう。




〜引用開始〜


幼児期における自己制御機能 (自己主張・自己抑制)の発達
―― 親および教師による評定の縦断データの分析を通して ――
松 永 あけみ 群馬大学教育学部教育心理学教室 (2007年 9 12日受理)
Development of Self-Regulation (self-assertion and self-control) in preschool children :
Analysis of longitudinal data on Parent’s and Teacher’s evaluation
Akemi MATSUNAGA
Department of Educational Psycholgy, Faculty of Education, Gunma University (Accept September 12, 2007)

【問 題】
保育所や幼稚園で、子どもたちは、子ども同士のかかわりの場面や集団活動の場面などにおいて、 自分の欲求通りには事が進まないさまざまな葛藤を経験する。そして、その経験を通して、自己を 抑制したり、主張したりする力を身につけていく。このように、状況に応じて、自己の情動や行動 を制御する機能は、自己制御機能と言われる。幼児期後期は、自己制御的活動を大人から導かれた りサポートされたりすることが必要である 2歳代までとは異なり、真の内的自己制御の能力を増加 させる時期(Kopp,1988)であり、かつ、大人からも適切に情動や行動を制御することの期待が高 まる時期とされている(Bronson, 2000)。さらに、4、5歳頃の自己制御の個人差がその後の 8年間 を通して、かなり持続していることを報告している研究もある(Raffaelli.,Crockett.,& Shen.,2005)。 このように、幼児期後期は、自己制御機能の発達にとって重要な時期であると考えられる。本研究 では、幼稚園の入園から卒園までの 3年間の自己制御の発達的変化を検討する。
自己制御機能は、人が社会の中で生活していく上で、児童期以降ますます重要な自己の一側面と なり、その研究もさまざまな角度からなされており、定義も一様ではない(Baumeister,R.E.,& Vohs, K . D . 2 0 0 4 )。 特 に 欧 米 の 研 究 で は 、 情 動 や 行 動 な ど の 表 出 的 抑 制 や 、 注 意 や 思 考 な ど の 認 知 的 抑 制 など、主に抑制の側面に焦点があてられている。それに対して、日本では、柏木(1988)が、自己制御において「集団場面で自分の欲求や行動を抑制、制止しなければならないとき、それを抑制す る」という自己抑制的側面だけでなく、「自分の欲求や意志を明確に持ち、これを他人や集団の前で 表現し主張する」という自己主張的側面も重要であることを指摘して以来、自己抑制と自己主張の 2側面からの研究が中心となっている。さらに、この両側面のバランスのとれた自己制御能力の発達 が、実際の向社会的行動と関連することも実証されている(関・松永,2005、伊藤・丸山・山崎, 1 9 9 9 な ど )。 


〜引用終了〜



「話し合い」といった場面が成立するのは、年中組の後半くらいからでしょうか?
また、その他の自己主張のぶつかり合いは様々です。


年少さんは、おもちゃの取り合い等の個人と個人の単純な事柄が多いです。

年中組になると集団を意識し始め、周りを自分の思い通りにするために様々な
悪知恵を働かせるようになるので、少し自己主張の仕方が複雑になってきます。

意地悪になったりズルくなったように見えるのも、この年中組の時期の特徴です。
(いわゆる「幼児期のギャングエイジ」とも呼ばれています)

年少には出来ていた事をやらなくなったり、先生や親にウソをついたり、
一見すると成長が止まり、逆戻りしたように感じる事も・・・

しかし、年中組さんはこの時期に成長に欠かせない大切な時間を過ごしているのです。


まだ集団での自己主張の仕方がまだ上手ありませんから様々なトラブルが起こりますが、
その体験を基に集団内での自己抑制の心を学んで行くので、この時期に特徴的な自己主張
(一見すると意地悪く、ズルい自己表現なども)を無理に抑えてしまうと、後々になって
自己主張と自己抑制のバランスがとれなくなってしまいます。

抑える事より、充分にこの時期に自己主張の場を保証し、充分に発達させる事が重要と
される所以です。
(リスクとハザードという考え方が、トラブルコントロールを考える際、参考になります)




その課程を経て年長組になる頃には、
年少組さんのお世話をしたり、年少組さんにおもちゃを譲ったり。
「年長さんが幼稚園のリーダーだよ。」という事に、喜びや誇りを感じるようになり、

上記のような「話し合い」がうまくいかない時に、
自分の意見を主張した後に、「話し合い」をまとめる為に相手に意見を譲るような
行動も見られるようになります。



デール・カーネギーが著書の中で
「あなたがひとをに動かしたいなら、相手の話を熱烈に聞け」
と述べています。

その通りに、本来は大人の世界に於いても「話し合い」が大切なのではなく
「聞き合い、聴き合い」が大切なのです。

集団の中で、自分の要望や考えを主張する事は社会生活を営む中でとても大事です。

そして集団であれば、自分以外の人の意見を主張を聴く時間の方が、発表より
長くなるのは当然ですね。
(例えば10人の集団だと単純に   発表 1 < 9 聴く  となります)


幼稚園の生活も、

個人から集団へ。

自己主張から自己抑制とのバランス(自己制御)の獲得へ。

「話し合い」から「聴き合い」へと

だんだん成長しているのですね。


頑張れ、子ども達。







2012年10月17日水曜日

負けず嫌いが・・



ドッヂボール大会の後、ある出来事があったそうです。

クラス担任 曰く

「負けたチームの皆はさすがに悔しそうでしたが、負けず嫌いのみんなが
 ドッヂボール大会で負けたその後に・・・」





子ども達はとても負けず嫌いです。(子ども達のみならず、私もそうですが・・・・)
でも幼稚園というところは、やさしいお母さんがいつも見守ってくれる
「家庭」と言う安全地帯とは違い・・・

人生に於いて初めてとも言える集団生活をするところ。

いくら負けず嫌いでも、すべてが自分の思い通りには進む訳ではないのです。
きっと幼稚園に通う皆にとって、幼稚園は思い通りにならないストレスの多い
環境なのでしょうね。

いつもの楽しい事が・・・主張のぶつかり合いになり、喧嘩になることもありました。





さて、ドッヂボールの試合後、
優勝したチームはニコニコ顔です。負けたチームには悔しさと涙がにじんでいます。

「勝ちたいのに勝てなかった・・」

この想いが、ニコニコしている優勝チームに対するイライラに変わる事も・・・
ピリピリとしたムードが負けたチームに漂い始めたときに、負けたチームの一員だった
負けず嫌いの一人、T君が

「でも・・〇〇チーム 優勝できてよかったね!」と言ってくれたそうです。

それにつられて、他の子どもたちも

「そうだね、よかったね、おめでとう・・」

優勝チームは

「ありがとう・・」

と、優勝した事と同時に、やさしい言葉にも喜んでいたそうです。

優勝チームは、練習で勝てないストレスを乗り越えて、諦めずに優勝を手にしました。
負けたチームは、「勝ちたいのに勝てなかった・・」という悔しさを乗り越えて、
優勝チームに賞賛の言葉を送りました。




担任の先生からこの話を教えてもらったとき、負けず嫌いのみんなの顔が浮かび、
幼稚園の生活で思い通りにならない事に日々葛藤し、その中で頑張り、
成長してくれていた事に思わず、目頭が熱くなりました。


「くるみ幼稚園のみんな、ありがとう」


子ども達から、様々な喜びや感動のギフトをもらう毎日です。










ドッヂボール大会


ドッヂボール大会が終わりました。

結果は・・・・

練習では強かったチームが勝てずに、
練習ではなかなか勝てずにいたチームが、
優勝!!

「なかなか練習通りには行かないなー」と
思いながら、くるみ幼稚園の過去の大会を
振り返ると、なんと以外にこのパターンが
多いのです。

練習で圧倒的な強さを誇ったチームに、慢心があったのでしょうか?
練習でふるわなかったチームに、とっておきの秘策があったのでしょうか?

どんな事が影響したか、園長の立場として評論するのはやめておきましょうネ。

とにかく練習から本番の大会まで、全てのチームが「チームとして作戦を考え、集中し、団結した。」
結果なのです。



大会の後は、焼き芋を焼いて
みんなで食べます。

試合が終われば「ノーサイド!!」
本来、敵も見方もありません。
そもそも競ってくれる相手がいなければ、
ゲームも成り立たないのですから。

結果は置いて於いて、
「ありがとう」
と、お互いに感謝しあえる事の方が、結果よりも数倍大切な事だと感じてほしい!!
そんな想いが、子ども達の焼き芋を頬張る笑顔を見て、私の頭を巡ります。







2012年10月10日水曜日

ドッヂボール練習

ドッヂボール写真
明日はドッヂボール大会です。

くるみ幼稚園のドッヂボール大会は、
年中クラス年長クラスの混合チーム
4チームで優勝を争います。

年少クラスはコロコロドッジを楽しみます。

大会に向けて園児達で作戦会議をしたり、
お弁当交流でチームの結束力を高めたり、
ドッヂボールの練習以外でも様々な成長を
実感させられる時期です。


ちなみに、ドッヂボールは基礎的な体力を育てる上で大きな効果が期待できる競技です。

代表的には「投げる能力」「受ける能力」ですが、「空間認識力」や「ボディーバランス」などの、
いわゆる基本的な危険回避能力を身につける事は、不用意な転倒などが原因とされる「子供の骨折」が
10年前から1.5倍に増加しているという調査結果からも、幼児期の重要な課題となっています。

また転倒のみならず、危険をひらりとかわす能力やそれを予測する能力は生命の危機に直結しますね。

くるみ幼稚園の園児達が使用するボールは、当たっても痛くないボール。
園児達には、楽しみながらこれらの能力を身につけてほしいと思います。

それからもちろん「ルールを守る事」や「チームワーク」も・・・